包装フィルムの種類と機能
LDPE(低密度ポリエチレン)
【機能】石油(ナフサ)からエチレンを分離し、高圧をかけて重合するので高圧ポリエチレンともいう。密度は、0.90~0.925。酸素ガス、二酸化炭素などの無縁ガスはよく通すが、防湿性は比較的よい。 耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、ヒートシール性、耐衝撃性、耐寒性に優れりが、耐油性、耐有機溶剤性、耐熱性はよくないです。透明性はあるがわずかに白っぽく手で引っ張ると伸びやすい。
【用途】単体ではゴミ袋、雑貨・食品等軽包装用ポリ袋、スキン包装、冷凍食品、米等の重量物、ショッピングバックなど、ラミネート用としては菓子、乾燥品、液体食品などの包装材シーラントとして使用される。
MDPE,HDPE (中、高密度ポリエチレン)
【機能】原料は低密度ポリエチレンと同じですが、触媒が異なり、中圧・低圧で重合されるので中・低圧 ポリエチレンともいいます。密度は0.925~0.940(中密度)0.940~0.965(高密度)。ヒートシールはLDPEより高温を必要としますが、その分、耐熱性と腰の強さを持ちます。一般には LDPEよりサラサラとした感触で、白っぽい。ガス遮断性、耐有機溶剤性には劣りますが耐水性、耐アルカリ性、耐酸性、耐衝撃性、耐寒性には優れています。
【用途】LDPEと同じく、雑貨・食品の軽包装袋などに単体でよく使用されます。ラミネート用としては、 ONやPETと貼り合わせて、高温ボイルやセミレトルトパウチのシール材として使用されることもあります。 最近はL-LDPEの耐熱タイプや耐熱CPPに置き換えられることが多いです。一軸に延伸したHDPE (OPE)は透明性も良く、腰もあり、ひねり包装用に利用されています。
L-LDPE(リニヤー低密度ポリエチレン)
【機能】製造法や添加剤の工夫により、一般のポリエチレンより分子の枝分かれが少ない低密度ポリエチレンを製造することができます。これをL-LDPEといい、添加剤の炭素数によりC4、C6、C8などの種類が あります。特徴は大きな強度、ホットタック性、夾雑物シール性、耐衝撃性などで、EVA15%並の 超低温シールタイプ、一般タイプ、セミレトルトも可能な耐熱タイプなどがあります。外観はLDPEと 区別ができません。
【用途】単体では、雑貨・食品の軽包装袋など汎用的に使用されています。ラミネートフィルムのシーラントとしては次の用途に使用されています。強度、耐衝撃性(重量物包装・液体包装など)、ホットタック性(高速自動充填・タテピローによる重量物包装・ガスフラッシュ充填包装など)、夾雑物シール性(粘体自動包装・粉末包装など)。
メタロセンポリマー(メタロセンポリエチレン)
【機能】カミンスキー教授らが発見したシングルサイト触媒を用いて製造したLDPEで、分子量分布にバラツキがない為に臭気、ベタツキ、ブロッキングなどの短所が少なく、耐衝撃性、低温シール性、ホットタック性、耐寒性などに優れています。L-LDPEに取って代わるものとして期待されています。
【用途】LDPE,L-LDPEの用途がそのままメタロセンポリマーに置き代わろうとしており、近い将来、代表的な PEとして成長していることでしょう。
EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合フィルム)
【機能】エチレンと酢酸ビニル(ビニルアセテート)を共重合し、LDPEのヒートシール性、耐衝撃性を改良したもので、外観はLDPEとほとんど変わりません。酢酸ビニルの配合比率が大きいほど 低温シール性、耐衝撃性、弾性が大きくなります。一般には5%または7%のものが使用されますが、3%、10%以上のもあります。また、酢酸ビニルの比率が大きいほど特徴はよくでますが、まれに酢酸臭がすることもあるので注意が必要です。
【用途】一般にはLDPEと同じく、OPPやKOPとのラミネート構成で一般乾燥食品の包装、ONやPETとラミネートして漬物、佃煮、山菜水煮、タレ小袋などの包装に使用されています。低温でシールできるのでシールの失敗が少なく、高速自動包装、ガス充填包装、脱酸素剤包装に適しています。また、液体包装でも破袋の危険性が軽減できます。LDPEとともに一般的なシール素材ですが、ボイル適正はLDPEより劣ります。
アイオノマーPE,EAA,EMAA(その他のPE系シーラントフィルム)
【アイオノマーPE】SURLYN(サーリン)という商品名で有名ですが、ポリエチレンの分子内にカルボニル基を導入し、ナトリウム、亜鉛などの金属イオンで結合をさせたもので、低温シール性、ホットタック性、金属に対する接着性に特徴がある。ハム、深絞り包装などに使用されている。しかし、この樹脂は高価なので最近は、LLDPEやEAAなどに取って代わられつつあります。
【EAA】エチレンとアクリル酸の共重合樹脂。金属に対する接着性、低温シール性、ホットタック性に特徴があり、主に押出しラミ用に、化粧品、香辛料、医薬品、液体紙容器などの接着層あるいはシーラントとして使用されています。しかし、特有の樹脂臭については注意が必要である。
【EMAA】エチレンとメタクリル酸との共重合樹脂で、性質はサーリンやEAA樹脂とよく似ています。押出しラミネート用のグレードが多い。EEAと同じく樹脂臭に注意が必要である。
CPP(無延伸ポリプロピレン)
【機能】石油(ナフサ)を分解して得たプロピレンを重合したのがポリプロピレン(PP)です。比重が0.88~0.91でプラスチックでは最も軽く、LDPEに比べて防湿性、透明性、腰の強さに優れている。逆に、柔軟性に欠け、耐衝撃性に劣る。耐寒性は-20℃以下になると脆くなる。耐候性もLDPEより劣る。耐薬品性 には優れているが、油成分は透過させやすい。酸素ガス、二酸化炭素などの無機ガスはよく透過させる。LDPEと並んでよく使われるシール素材です。
【用途】一般に、単体使用ではホモポリマーが、ラミネート用にはエチレンを共重合したコ・ポリマーが使用される。単体で雑貨などの軽包装、繊維包装、麺類・パン包装、ピーマン、もやしなど、OPP/CPPやKOP/CPPとして軽包装、菓子包装などに多く使用されている。また、120℃~130℃のレトルトパウチのシーラント、蒸着フィルム、静電気防止タイプ、低温シールタイプ、耐寒タイプなど種類は多いです。
OPP(二軸延伸ポリプロピレン)
【機能】CPPの厚手フィルムから、縦横の二軸に延伸し、引っ張った状態で熱をかけて固定したものがOPP フィルムです。一般には20μ~60μまでが包装用として用いられます。延伸したOPPフィルムCPPに比べて伸びにくく、腰があり、引張強度、防湿性、透明性など多くの性能が向上します。しかしヒートシール性が悪くなるのでシーラントとしては使用できません。ポリプロピレンの基本的な性質はもっており、腰の強さ、透明性、防湿性に優れていますが、ガスはよく通します。
【用途】単体では乾燥食品用としてのパートコート袋、雑貨、繊維包装の溶断シール袋が比較的安価な 袋として多く使用されています。ラミネートフィルムとしては、雑貨、乾物、米菓、キャンデー、インスタントラーメン、アイススティックなどにOPP/CPP、OPP/PE、として幅広く使用されています。ガス遮断性はよくないので、長期保存、脱酸素剤封入包装、ガス充填包装には適しません。蒸着OPP、ヒートシール性OPP、強静防タイプ、高防湿タイプ、高透明タイプ、シュリンクフィルム、マット調フィルム、パール調フィルム、易接着性OPP、易カット性OPP、防雲OPPなどの機能性タイプの種類も多いです。
KOP(ポリ塩化ビニリデンコートOPP)
【機能】OPPの片面または両面にポリ塩化ビニリデン(PVDC樹脂、サラン樹脂)をコートしたもので、これを KコートOPP、つまりKOPと呼んでいます。PVDC樹脂をコートすることでガスバリアー性、防湿性、保香性などが優れたフィルムになります。現在では20μ、25μ、30μが多く、また、コートするPVDC樹脂の純度によってハイバリアー性のもの、超ハイバリアー性のものなどがあり、目的によって使い分けられています。
【用途】KOP/CPP,KOP/PEなどの構成で、乾燥食品のガス充填包装、脱酸素剤封入包装、防湿包装、漬物、板こんにゃくなど幅広く使用されています。また、両面コートタイプは、K面同士でヒートシールできるようになっていて、饅頭などのオーバーラップ、ピロー包装に使用されています。
AOP(PVAコートOPP/トーセロ)
【機能】OPPの片面にPVA(ポリビニルアルコール)をコートしたもので、酸素遮断性に優れ、 高防湿OPPを使用しているので防湿性にも優れています。KOPに変わる脱塩素 バリアーOPPとして期待されています。
【用途】PVAコートのため、水分活性の高い商品では酸素バリアー性を維持できず、用途は 酸化しやすい乾燥食品のガス充填包装、脱酸素剤包装などに限定されます。
PET,KPET(ポリエステル、Kコートポリエステル)
【機能】ポリエステルフィルムは二軸延伸されており、強靭さ、耐熱(150℃)、耐寒性(-70℃)、香気保存性に特徴があります。油、酸には強いが、苛性ソーダやアンモニアなどのアルカリ には劣化します。ガス遮断性、保湿性、耐衝撃性は良いとはいえません。KOPはKOPと同じ く、片面のKコートしたもので、ガス遮断性、防湿性に優れていますが、レトルトはできません。
【用途】PETは耐寒性、耐熱性が良いので冷凍食品、ボイル用、レトルトパウチに香気保存性も良いのでコーヒー、紅茶、香辛料などの包装にシーラントフィルムを貼り合わせて使用されています。 12μが一般的です。KPETフィルムは防湿包装、ガス充填包装、脱酸素剤封入包装に、最近ではインスタントラーメンの包装にもよく使用されています。PETにアルミ蒸着したものはバリアー性が非常に良く、包装用蒸着フィルムではもっとも多く使用されています。機能性PETとしては蒸着PET、透明蒸着PET、静防PET、収縮PET、易接着性PET、マット調PET、高透明PET、ハイバリヤーKPET、紫外線カットKPET、ボイル用KPETなどがあります。また、繊維やペットボトルなどに使われる、テレフタル酸とエチレングリコールを主成分とするものポリエチレンテレフタート(Poly-Ethylene-Terephthalate略してPETペット)があります。
ON,KON,CN(延伸ナイロン、Kコートナイロン、無延伸ナイロン)
【機能】ナイロンにも各種ありますが、一般的に包装用として使用されているのは二軸延伸されたNY6です。水蒸気透過は大きく、ガスバリヤー性は80%RH付近ではPETと同じくらいあります。耐寒性(-70℃)、耐熱性(レトルト120℃)、耐衝撃性、耐ピンホール性に特徴があります。KONはKコートしてバリヤー性を改善したもので、片面3μ程度のコーティングです。東洋紡にはOSMというバリヤー性ナイロン(MXD)もあります。NY/MXD/NYの共押出しONはKONの代替として注目されています。CNは延伸していないナイロンで伸びやすいです。
【用途】ON/EVA,ON/L-LDPE,ON/耐熱CPPなどの構成で冷凍食品(耐寒性)、ボイル・レトルトパウチ(耐熱性)、液体小袋・山菜水煮(耐衝撃性)などに、耐ピンホール性を利用したものではON/AL/PE、KON/L-LDPEなどの構成で、コーヒー豆等の包装に、また優れた強度をもつので米、業務用の重量物包装等に利用されています。KONは脱酸素剤封入包装、ガス充填包装、防湿包装などに利用されレトルト用もあります。CNはCN/PE、KCN/CPPなどの構成で深絞り包装の絞り材として利用されています。ナイロンの共押出しチューブも未延伸です。
PVA,EVOH/ビニロン(ポリビニルアルコール)
【機能】繊維として使用されているビニロン(ポリビニルアルコール)をフィルムにしたもので、乾燥状態ではプラスチック中、最もガス遮断性に優れたフィルムですが、水に弱いという欠点もあり、両面に耐水加工をして使用することが多い。食品用PVA系フィルムとしては、PVAを延伸したもの(ボブロン)、これにKコートしたもの(OV)、PVAとエチレンを共重合したもの(EVOH)、これを延伸したものなどがあります。
【用途】一般にはPVA系をサンドイッチにした3層構成で使用されるが、OVはシーラントを貼り合わ せた2層構成、延伸EVALやボブロンも2層で使用されることもあります。ガスバリヤー性に 優れているので、油脂性食品・味噌・漬物などの酸化・変色防止包装、削り節、お茶・ ハム・チーズなどのガス充填包装、脱酸素封入包装、真空包装、香気保存包装など。 水蒸気遮断性は良くないので防湿包装には不向きです。
PVC/ポリ塩化ビニル(塩ビ)
【機能】PVCの種類には硬質と軟質があり、PVCフィルムは可塑剤の種類と量によって大きく物性が異なり、用途によって使い分けられます。硬質フィルムは引張強度、腰の強さはセロハンに似ており、機械的性質は良好である。軟質フィルムは可塑剤が多く添加されています。伸び、引裂強度が大きく、強靭なフィルムですが、滑り性が悪く、腰もないので使いにくいです。ガスバリヤー性、防湿性ともにあまり良くありません。塩ビは温度の影響を受けやすく、夏は柔軟で強靭ですが、冬は硬くて脆弱です。
【用途】硬質塩ビのシートは成形性が良く、食品用のトレイや容器、ブリスターパックなど、薄手のフィルムでは繊維や雑貨の包装に、収縮塩ビとしてシュリンク包装、ラベルやキャップシールなどに使用されています。軟質は繊維や雑貨の包装に、スーパーなどでラップフィルムとして大量に使用されています。
PVDC(ポリ塩化ビニリデン、サラン)
【機能】日本でPVDCを生産しているのは呉羽化学工業と旭化成の2社です。PVDCはPVCに比べて倍の塩素量が付着しています。外観は燃焼状態では両者は区別が付きません。ガスバリアー性、防湿性、保香性などについてはPVDCの方が遥かに優れています。KOP,KPET、KONなどの『K』の部分はPVDCがコートされたものです。
【用途】ラップフィルムの「サランラップ」旭化成、「クレラップ」呉羽化学工業は家庭でも馴染みがあります。この他にハム・ソーセージなどのロケット包装は収縮タイプのPVDCが多く、ラミ用フィルムにはケイフレックス(呉羽化学工業)、サラン-UB(旭化成)があり、ON/PVDC/CPPなどの構成で レトルトパウチに使用されます。共押出フィルムも両社から各種出されています。最近はダイオキシンの発生源になるとの指摘もありPVDC,PVCともに敬遠される傾向にあります。
PT,MST,Kセロ(セロハン)
【機能】セロハンは。レーヨンと同じくパルプを苛性ソーダに溶かしてビスコースをつくり、これを酸の溶液に フィルム状に押出し、再生セルロースに変化させたものです。何も表面にコートしていない普通セロハン(PT)の性質は透明な紙そのものです。吸水性があり、水で膨潤します。水蒸気はよく通すが、帯電性はなく、油も通さない。普通は10%前後の水分を含むが、乾燥すると脆く破れやすい。吸湿すると柔らかく腰がなくなります。透明性がよく、熱では融けずに焦げます。ガスバリヤー性は良くないです。防湿セロハン(MST)はPTの両面にPVCコートしたもので、耐水性、防湿性、ヒートシール性を 付与したものです。KセロはPVCの代わりにPVDCをコートしたもので、MSTよりさらにバイヤー性を向上させたもの です。
【用途】[PT]PT/CPP、PT/AL/PEは包装機適性、手切れ性が良い。乾物包装、医薬品包装。[MST]ひねり包装、オーバーラップ包装、ピロー包装、お茶袋(ラミ)など。[Kセロ]お茶袋、味噌袋、医薬品包装、漬物袋、香辛料など。
PS(ポリスチレン、スチロール)
【機能】発砲スチレンはおなじみですが、クリアーなフィルム(GPPS)は硬くて脆い。耐衝撃性を向上させるためにゴム系樹脂をブレンドしたハイインパクトPS(HIPS)や、延伸したポリスチレン(OPS)もあります。PSはガスバリヤー性、水蒸気遮断性ともに悪く、また溶剤に溶けやすい。
【用途】ガス透過性が大きいので呼吸する野菜・果物などの包装に適しています。鮮度保持フィルム利用されたり、透明性を生かしてカートン、封筒などの窓付き包装もあります。ポリスチレン製容器 の密封シールにはPS(HIPS)単体、PET/PS、OPP/PSなどが使われます。
AL(アルミニウム箔)
【機能】アルミニウム箔は金属ありガスや水蒸気を全く通しませんが、30μ以下の厚みではピンホールの影響のため完全なバリヤー性をもつというわけには行きません。しかし、一般に使用される7μ・9μでも他のプラスチックとラミネートすれば今までご紹介してきたどのプラスチックよりもバリヤー性は遥かに優れたものとなります。その他、保香性、遮光性、耐熱性などもほぼ完全です。
【用途】レトルトパウチの代表的な構成はPET12μ/AL9μ/耐熱CPP60μで、適切な条件で加熱加圧殺菌すれば、商業的には無菌状態が長期的に保てることになります。その他、防湿包装、遮光包装、ガス充填包装、脱酸素剤包装などに最高のバリヤー材として広く使用されています。また、アルミ箔はデッドフォールド性に富んでいるので、単体で、あるいはセロハン、紙、プラスチックと貼り合わせてひねり包装や型付け包装に利用されています。ショートケーキの下に敷かれているアルミ箔は硬質箔で、腰があり、両面光沢が多いです。
VM(アルミ蒸着フィルム、透明蒸着フィルム)
【機能】アルミ蒸着フィルムとはアルミニウムを高真空状態で加熱蒸発させ、その蒸気をフィルム表面に付着させたもので、美しい金属光沢を持ち、バリヤー性を向上することもできる。蒸着膜の厚みが500オングストローム(0.05μ)と非常に薄いので、フィルムの種類によってあるいは加工方法によって性質が異なったり、ばらつきが生じたりするので、使用に際しては注意しなければならない。MSTや紙に蒸着したものはバリヤー性は期待できない。OPP,CPP、PEに蒸着したものは防湿性は優れるが、ガスバリヤー性は劣る。バリヤー材として最もよく使用されているのがVMPETで、ガスバリヤー性、防湿性ともに優れており、VM膜とPETとの密着強度も大きい。またVMフィルムには部分蒸着や窓抜き加工できる特徴もあります。最近はガラスと同じ成分の珪素酸化物や金属酸化物(アルミナ)を蒸着した透明蒸着もあり、酸素、水蒸気ともにハイバリヤーな透明フィルムとして広がりつつあります。
【用途】MSTや紙への蒸着品は金属光沢で商品の高級化に役立ち、OPP,CPP,PEの蒸着品は冷凍食品、アイスキャンデー、菓子などの防湿包装にも利用されています。VMPETはバリヤー材として2層または3層で防湿包装、ガス充填包装、脱酸素剤封入包装、液体小袋などに用いられている。透明蒸着フィルムはレトルトまで使用できるグレードもあります。
共押出しフィルム(コ・エクストルージョンフィルム)
【種類・機能・用途】共押出しフィルムというのは異種の樹脂を平行した2つ以上のスリットから共に押出し、成膜すると同時にラミネートまでされているというものです。フィルム状にできないような数μという薄いものでも最大5~7層まで積層可能なので、いろいろな性能・用途フィルムが作られています。最近特に種類、量ともに増加の傾向にあります。延伸したフィルムも多い。ただし、共押出しの層と層の間に印刷などの加工は出来ません。種類が多いので数列を列挙するにとどめます。
[PP・PE系]
- 特殊PE/PP/特殊PE MST代替
- 耐熱PP/低温シール樹脂 OPP/PE代替
- OPP/PP OP/CP防雲も有り
- 特殊PP/PE/EVA イージーオープン用
[EVOH系]
- NY/EVOH/EVA 加熱成型用
- LDPE/EVOH/LDPE 深絞りバリヤー材
[PVDC系]
- EVA/PVDC/EVA チルドビーフ収縮包装
- OPP/PVDC/PP KOP代替
[NY系]
- LLDPE/NY/アイオノマー 耐油性包装
- NY/PE/NY/PE/LLDPE チューブ
- NY/MXD/LLDPE ガスバリヤー性良好
- NY/PP レトルト用
[PS系]
- HIPS/HDPE カップ容器
- GPPS/HIPS カップ容器
不織布(スパンボンド・ニードルパンチ・スパンレース・ケミカルボンド)
【不織布とは】文字通り織らない布です。通常、繊維製品は、糸を織るか編むかでシート状に一旦、加工しそれを縫製して、衣料品やバック等に仕上げていますが、不織布の場合、繊維(糸)を直接シート状に加工することでコストを安く又、品質を均一にする特徴を持たせています。
【用途】紙製品やフィルム製品とは違って、不織布は繊維素材が原料になっているので、繊維素材特有の柔らかさや、風合いなどの種々の特徴を備えていると共に、シート状なので印刷や製袋加工がしやすく、更に強度や通気性・フィルター性・クッション性等、数多くの新しい価値を生み出すことが出来る機能材料でもあります。不織布材料は、紙オムツ・ふきん・洋服カバーなど幅広い家庭用品の主材料として使用されています。一方で、メディカル品・フィルター・カーペット補強材・芯地・インテリア材料等や目立たぬ分野でも幅広く使用されています。
【不織布の種類】
『スパンボンド』溶融したポリマーをノズルから紡出してウェブをつくり、熱エンボスローラで熱圧着して仕上げるのが主流の不織布です。長繊維のため強度があります。
[素 材]PP、ポリエステル、複合素材、ナイロン。
[用 途]包材、おむつ、フィルター、芯地、カーペット基材、壁装材、コーティング及びラミネート材料等。
『ニードルパンチ』原綿をカードなどでウェブにし、小さいトゲのある多数の針をウェブに突き刺し上下さすことにより繊維をからめて接合した不織布です。繊維の密度が大きいわりにバルク性に富む。
[素 材]PP、ポリエステル、レーヨン、複合素材等。
[用 途]カーペット、毛布、フィルター、コーティング基布、自動車用内装材等。
『スパンレース』原綿をカードなどでウェブにし、高圧の水流をあてて繊維同士をからませて乾燥させた不織布です。柔軟でドレープ性にとむ。
[素 材]綿、レーヨン、ポリエステル等。
[用 途]おむつ、メディカル用、芯地、生活関連資材、コーティング基材、ワイパー等。
『ケミカルボンド/レンジボンド』原綿をカードなどでウェブにし、接着樹脂を塗布して繊維同士を固定させた不織布です。
[素 材]レーヨン等。
紙(クラフト紙、上質紙・純白、グラシン、レーヨン紙、化繊紙、奉書紙)
【種類・用途】
代表的な紙の種類としてはクラフト紙、上質紙、純白、奉書紙、グラシン紙、化繊紙等があります。
- クラフト紙:PEをコートして、肥料、砂糖、樹脂等の重包装袋として用いられす。
- 上質紙・純白:PE、AL箔等をラミネートして、薬品、茶、シャンプー、ふりかけ等の軽包装用として用いられます。
- グラシン:PEコートして、油性食品、薬品、菓子類等の軽包装に用いられます。グラシンは、パルプを細かく砕いて透明感を向上させた紙で薄葉紙の一種です。
- レーヨン紙:パルプ20%、レーヨン紙80%の混合でPEコートして洋菓子、饅頭等の包装によく用いられます。
- 化繊紙:パルプ40%、レーヨン紙60%の混合でレーヨン紙よりはパルプの性質が強くなります。
- 奉書紙:パルプの繊維が固くてややあらい。包装用としては腰があり、PEをラミネートして用います。
いろいろな紙が食品包装ラミネート用として使用されているが、一般には高級感、厚み感、腰の強さを利用したもので、バリヤー性は全くないと考えたほうがよい。紙/PE、紙/PVDC、紙/PET/PE、紙/PE/AL/PE、MST/PE/紙/PE、レーヨン紙/PE、レーヨン紙/KPET/PEなどの構成で、医薬品、砂糖、食塩、小麦粉の粉末、菓子、お茶、などの包装に使用されています。不透明ですが、光はかなり透過させます。